ランニングのための筋トレ 持久的パフォーマンスを高めるポイント

ランニングのための筋トレ 持久的パフォーマンスを高めるポイント

こんにちは。

銀座のパーソナルトレーニングスタジオ「フィジカルラボ銀座」です。

すっかり気温が下がり、朝方や夜は冷え込む日が増えてきましたね。

マラソンもシーズンを迎え、もう大会で走ってきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

そんなマラソンやランニングは、同じ動作を繰り返すスポーツです。

そのためコンディションが悪い状態で走り続けると、故障に繋がるリスクがあります。

 

怪我を防ぐためには、身体の正しい使い方を身に付けたり、筋力や柔軟性を高めたりすることが必要です。

 

最近ではSNSでも、自体重で出来るストレッチや体幹トレーニングからウエイトトレーニングまで、ランナー向けのエクササイズ種目が数多く紹介されています。

 

しかし特に筋力トレーニングを実施するときには、『どんな種目で実施するか』だけでなく、『どのくらいの負荷で実施するか』もとても重要なのです。

 

例えば同じスクワットでも、重い重量を低回数で実施するのか、軽い重量を高回数で実施するのかで、大きく効果が違ってくるからです。

 

そこで本日は、ランニングに活かすための筋力トレーニングの種類と、その負荷設定について検証した研究を紹介します。

 

Berryman et al., 2017

Strength training for middle- and long-distance performance: A meta-analysis.(1)

 

 

研究方法

 

過去の研究を統合して分析するメタ解析*

 

*メタ解析とは:過去に行われた複数の研究結果を収集し,いろいろな角度から統合したり比較したりする分析研究法

 

【研究の採用基準】

✓2015年12月までに出版されたもの

✓持久的なトレーニング(長い時間継続して動くトレーニング)に加えて筋力トレーニングの介入が実施されている

✓健康的な被験者で持久力or筋力のテストを実施している

✓75秒以上の中・長距離パフォーマンスを測定

 

【トレーニングのカテゴリ分け】

 

①最大出力(最大挙上重量の80%以上)

(例)スクワットを正しいフォームで1回だけ上げられる最大の重さが100kgだとすると、80kg以上の重さでトレーニングを行う

 

②最大下出力(最大挙上重量の80%未満)

(例)スクワットを正しいフォームで1回だけ上げられる最大の重さが100kgだとすると、80kg以下の重さでトレーニングを行う

 

③最大パワー(※プライオメトリクスやスプリント)

※プライオメトリクスとは筋力にスピードの要素を取り入れたトレーニングです。
筋肉を最大限に伸ばしたところから縮める運動で、主にジャンプ動作のトレーニングを指します。
スプリントとは短い距離で最大に近いスピードを発揮する能力を高める、いわゆるダッシュのトレーニングを指します。

 

④組み合わせ(上記の組み合わせ)

 

【統計】

各トレーニングの介入が持久系パフォーマンス(75秒以上の中・長距離パフォーマンス)などの向上に与える効果をSMD(Standard Mean Difference:2つの推定平均値の差を標準偏差の推定値で割ったもの)で評価

 

結果

 

28件の研究を採用

[持久系パフォーマンスに対する各トレーニングの効果]

①最大出力 :有意な中程度の効果あり

②最大下出力:有意な効果なし

③最大パワー:有意な効果なし

④組み合わせ:有意な中程度の効果あり

 

この研究から分かること

 

今回の研究では持久系パフォーマンスに与える影響について、トレーニングの種類だけでなく、トレーニングの負荷の違いについても検証しました。

 

その結果特に、①と④の高負荷ウエイトトレーニングを取り入れたものが最も持久系パフォーマンスを向上させるという結果になりました。

 

①のような、最大挙上重量に対する80%以上の負荷を扱うような高負荷低回数のトレーニングでは最大筋力向上の効果が期待出来ます(3)。

 

一方でそれ以下の負荷では、最大筋力向上効果が小さくなる代わりに実施出来る回数が増えるので、筋肥大や筋持久力向上効果は大きくなると考えられます。

 

(筋持久力とは、筋肉がいかに同じトレーニングを長く続けることができるかという能力。
マラソンのような全身持久力はローパワーの持久力と呼ばれるのに対し、ハイパワーの持久力とも呼ばれます。)

 

今回の研究では持久的パフォーマンスを高めるためには大きな負荷を用いて最大筋力を向上させることが重要であることが示唆されました。

 

このような高負荷でのトレーニングを実施するには、怪我をしないよう正しいフォームでトレーニングを実施することと、自分の最大挙上重量を正しく評価することが必要です。

 

フィジカルラボ銀座では、セーフティーバーがついているパワーラックの設備がございますので、最大挙上重量である「1RM」を測ることが可能です。

不安のある方は、3RMや5RMと回数を増やして行うことで、1RMを予測して評価することも可能です。

また、フィジカルドックではMMT(徒手筋力テスト)という方法で筋力を測ります。

1RMを測るには「正しいフォームでエクササイズができること」が必要になりますので、ご希望がございましたら、お客様に合わせた筋力測定方法をご提案させていただきます。

 

また今回の研究では③の最大パワー向上のためのトレーニングが持久的パフォーマンス向上に与える効果は認められませんでしたが、他のメタアナリシスではパワー系のトレーニングの効果も認められているため(2)、基礎筋力が身についたらプライオメトリクスなどのジャンプ動作を取り入れたトレーニングを実施するのも有効でしょう。

 

ランニングのために筋力トレーニングを導入している方、特に持久的パフォーマンスを高めたい方は、是非実施する際の『負荷』にも注意してみてださい!

 

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フィジカルラボ銀座は、銀座徒歩1分・完全個室のスポーツ医科学パーソナルジム。

 

トレーナーの専門知識と技術、プロ仕様のインボディや画像分析システムを組み合わせた身体機能評価「フィジカルドック」は、問題の原因と改善ポイントを明確にした上で、ご自身で続けられる最適な運動メニューを作成・指導。ハウツー動画のアフターサービス付きなので、やり方を忘れてしまう心配もありません!

 

また、「人生を楽しむための動けるカラダづくり」をしたい方に適した健康志向のパーソナル(ペア)トレーニングやオンラインパーソナルトレーニングもご用意しています。

 

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©Physicl lab Co.,Ltd. 2023

 

参考文献

  1. Berryman, N, Mujika, I, Arvisais, D, Roubeix, M, Binet, C, and Bosquet, L. Strength Training for Middle- and Long-Distance Performance: A Meta-Analysis. Int J Sports Physiol Perform 1–27, 2017.Available from: http://journals.humankinetics.com/doi/10.1123/ijspp.2017-0032
  2. Denadai, BS, de Aguiar, RA, de Lima, LCR, Greco, CC, and Caputo, F. Explosive Training and Heavy Weight Training are Effective for Improving Running Economy in Endurance Athletes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sport Med 47: 545–554, 2017.
  3. Peterson, MD, Rhea, MR, and Alvar, BA. MAXIMIZING STRENGTH DEVELOPMENT IN ATHLETES: AMETA-ANALYSIS TO DETERMINE THE DOSE- RESPONSE RELATIONSHIP. J Strenght Cond Res 18: 377–382, 2004.

 

 

 

 

 

 

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